モントリオール、NYC

 今年の冬は京都も少しくらい冬らしさがあったかも知れない。だけどもう4月も後半。
 何回かここのページを更新すべく書きかけたものがある。
<1回目、3月6日にモントリオールへ向かう機内>
 昨年末のどたばたの中、これを書いてから65日くらい経ってしまった。まだまだトライアスロンは続いているが、飛行機の中くらいゆっくりとした時間が進む。デトロイトまでは12時間。隣の席が空いていたので幸運なのか、Macのバッテリーが2時間くらいもつので、急に頼まれた編集のオフラインが出来てしまった。これで帰ってから少しは余裕ができればスキーに行けるか・・・。
 デトロイトから乗り継いでモントリオールに午後3時。夕方にホテルに入って、中華街にあるベトナム料理屋カリでフォーを食べて、夜のオープニングに行くというのがいつものパターン。ここのフォーはスープが旨い。今年のモレアルは寒いと聞いているが、どんなもんだろうか・・・・・。
<2回目、3月18日にモントリオールから帰る機内>
 今年のモントリオール、寒かった。最初の週は、ストームが吹き荒れ、私の着いた日は、あなたはラッキーなどと言われくらい冬のような天気が続いた。午前中のプレス上映の後、地下鉄の駅まで2ブロック歩いていたら、雪に残る足跡が途中で消えた。町中でトレースが消えるという冬山のような体験だった。

映画祭の方は、どうだったのかなぁ。会期の途中でニューヨークへ束芋の個展の準備に6日間出かけたので、あまり心に残る作品には出会えなかったけれど、相変らずヨーロッパのテレビ番組はいいものを作っているという印象を受けた。日本からはNHKも歌麿のドキュメンタリーを出していたが、ゲストリストの日本人は今回も私だけという寂しい状況は変わりなかった。来年は青木兼治君に牛忠のドキュメンタリーで是非参加してもらいたい。
<3回目、3月27日に横浜へ移動中の新幹線で>
 3月は飛行機に乗る事が多かった。その度に厳重な手荷物検査受ける。飲みかけのペットボトルが持ち込めなくなって、どれだけ経ったのだろうか。もっと手軽に乗れていた時代。とても平和で人間的だったような気がする。911以前の話しだけれど、イタリアからスイスに向かう飛行機で、新人の客室乗務員が他の乗務員から手厚い歓迎を受けていた。新人君の背中には、僕は今日始めての勤務です。と手書きで書かれた紙が貼り付けられていた。勿論、乗客たちもそれを知ってくすくすと笑いながら、機内にはとても暖かな空気が流れていた。私は新人君の記念すべき日を写真に撮ってあげた。しばらくしてフライトの途中で、そのいたずらは本人に知らされ、乗客は拍手歓声で彼を祝った。私は写真のお礼にと、コックピットに呼ばれて、スイスアルプス越を操縦室から楽しませていただいた。地平線の彼方まで広がる白い山々の美しさは今でも脳裏に焼き付いている。でもこの出来事は、もうとても遥か彼方の夢の様に感じる。
 そしてまた、もっと身近なところでも変ったなと感じずにはいられない事がある。それは子供たちの遊びだ。学校から帰ると近くの神社に行って暗くなってボールが見えなくなるまで野球をしたり、古木の切り株の穴に自分たちの家を造って秘密基地と銘々したり、今思うと子供ながらに精いっぱいクリエイティブな遊びをしていた。しかし、今自分の子供たちの遊びを垣間見ると、与えられた中で遊ぶことが原則で、自分たちで遊びを作り出すことを好まないのか、できないのか・・・。我々の世代は幼稚園にも自分で歩いて登園し、帰りには自主的に寄り道をするなど、とても自由度が大きかった。今、園児をひとりで登園さす幼稚園はあまり聞いた事が無い。時代は大きく変ってしまったのか。
 小学校の頃、友達同士で奈良の南の方へ蒸気機関車の写真を撮りに行ったり、中学の頃、友達とスキーに出かけて帰りに駅までヒッチハイクしたり、そういう経験が今になって私の人生に大きな影響を与えてくれているような気がするのだが、もうそんな経験を子供たちがすることは、今日では不可能なのかも知れない。
<そして4回目、今日4月13日自宅で>
 3月のロードも終わって一息。結局春スキーには行けずに関西の雪は溶けた。2008年も最初の3ヶ月が終わって、第二四半期。今月は京都国立近代美術館でART RULESと題されたChicks On Speedらの滞在制作がある。5月3日がコンサート。5月末には、シャネルが世界巡回させているモバイルアート展が東京に巡回してくる。展覧会としては、どうかと思うが、現代美術の紹介としては、こういうのも何かのきっかけとしてはいいのかも知れない。明日からまた、ノンストップか。
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この時モントリオールに出品していたのはimo-la tabaimo -2007-で、NYで開かれていたジェームス・コーハン・ギャラリーの展示は、その次に出したimomushi : tabaimo -2010-に収録しています。

束芋:tabaimo imomushi -2010-芋蟲 from Ufer! Art Documentary on Vimeo.
束芋:tabaimo imomushi -2010-
日本語/English Subtitles

imo-laをリリースした2007年の秋、束芋はロンドンの北の街、ヨークでシャネルのモバイルアートに出品するat the bottomのプロジェクションテストを行なっていた。前年から構想していた作品の形がようやく見え出した。 今回のストーリーはここから始まる。2007年の年末に横浜美術館でGoth展に参加、2008年はニューヨークのジェームス・コーハンでの個展、ハラ・ミュージアム・アークの真夜中の海の新しい展示、そしてモバイルアートが香港をスタートとして東京、ニューヨークを巡回。秋にはデンマークのルイジアナ美術館の「マンガ」というグループ展に参加、ギャラリー小柳の個展を経て、翌2009年はストックホルム近代美術館で個展。そして12月には横浜美術館で始った「断面の世代」へと続いて行く。また2008年10月からシンガポールの版画工房STPIに3回の滞在制作を経て完成した作品を2010年にら発表、2010年は、フィアデルフィア美術館のグループ展、ニューヨークの601 Artspaceでの個展、ロンドンのパラソルユニットの個展を経て国立国際美術館の「断面の世代」。今回のドキュメンタリーではこのロンドン、パラソルユニットあたりまでを束芋の回想によるロードムービーとしてまとめた。

出演・束芋  監督・岸本 康
本編映像 47分

Tabaimo (b.1975) converts her hand-drawn images into animation on a computer and incorporates them into installations using multi-projection and other means of expression. In 2009, 10 years after her debut, her major solo exhibition : “DANMEN” was shown at Yokohama Museum of Art and at The National Museum of Art, Osaka (2010). The film documents the three years prior to the exhibition and includes interviews in which she reflects on each project.
Featuring Chanel’s “MOBILE ART” , “Manga!” at Louisiana Museum of Contemporary Art, her solo exhibition at Moderna Museet and her residency at the Singapore Tyler Print Institute in Singapore, the film contains 11 works of the artist as well as their production process and shows how her large installation comes into being.


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