涼しい6月 Chicks on Speed

 ゴールデンウィークに至る10日間は、京都国立近代美術館で滞在制作をしたChicks on Speedメンバーと共に撮影をしたり編集をした。芸術は本来自由なものであることを再確認できる彼らのパフォーマンスに驚きながら、楽しく制作が出来、コンサートも大盛況だった。

ダグラス・ゴードンのサービス精神には、いささか驚きながらも、人生としての芸術を楽しむ様子に感心した。写真は彼らが映像にシャボン玉を入れたいというリクエストに応えるべく、真剣に取り組む私。

 5月末、シャネル・モバイルアートの東京展は無事にオープンした。
 束芋の作品の複雑な設営も主催者側のスタッフによって完璧に行われて、サウンド・ウォークというヘッドフォンの音声を聴きながら観るシステムも細部が改善されて作家にとってよりよい状態になった。香港で一旦解体され、輸送するだけで相当大変な建物と作品群を見事に再構築していた。普段美術界で仕事をしている私にとって、世界巡回でどのくらいの費用がかかってしまうのかということを考えさせることもこのプロジェクトの一部なのかと思うほどに、巨額が注ぎ込まれている展覧会だ。
 しかも、入場料は無料!。ネット予約の300円ほどの手数料で購入できる。フランスでもこういうのは太っ腹というのかどうかは知らないが、結果としては2日ほどでチケットは完売。ヤフオクにはダフ屋とも言えるチケット販売が多数出回ってしまった。これが日本の寂しい文化度ではないと思いたいが、今回のチケットに関わらず、公立美術館が発行する無料の招待券などがネットで売買される様子は、モラル以前の問題だ。

 昨年のモントリオールの芸術映画祭に参加したという木村さんという人からメールをいただいた。私はあいにく昨年の映画祭には行けなかったので日本人の参加があったことはすっかり忘れていた。現地に行ってあの映画祭を体験した人はほとんどいないので、是非会いたくなった。丁度東京滞在の時に、彼の運営するギャラリーで展覧会が始まるということだったので、府中にあるLOOP HOLEに行ってお会いした。木村俊幸さんはペインターとしても作品をつくりながら、映像作品を作る。本職は映画の特撮の監督だ。モントリオールの芸術映画祭について語ってもそれをなかなか理解してくれる人がいないことを彼も感じていて、短い時間だったが親しみを感じながら話しが出来て、とても貴重な時間を過ごした。

 今月は森村泰昌がスペインで個展。来月はピピロッティが丸亀で個展。大きな新作を持って来るらしい。夏休み、海と美術というのもなかなか楽しそうだ。

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シャネル・モバイルアートは結局、香港、東京、NYを巡回して終了した。そのインスタレーションとザハ・ハディッドの設計した移動式美術館の中での束芋のインスタレーションはimomushi : tabaimo -2010-に収録しています。

束芋:tabaimo imomushi -2010-芋蟲 from Ufer! Art Documentary on Vimeo.
束芋:tabaimo imomushi -2010-
日本語/English Subtitles

imo-laをリリースした2007年の秋、束芋はロンドンの北の街、ヨークでシャネルのモバイルアートに出品するat the bottomのプロジェクションテストを行なっていた。前年から構想していた作品の形がようやく見え出した。 今回のストーリーはここから始まる。2007年の年末に横浜美術館でGoth展に参加、2008年はニューヨークのジェームス・コーハンでの個展、ハラ・ミュージアム・アークの真夜中の海の新しい展示、そしてモバイルアートが香港をスタートとして東京、ニューヨークを巡回。秋にはデンマークのルイジアナ美術館の「マンガ」というグループ展に参加、ギャラリー小柳の個展を経て、翌2009年はストックホルム近代美術館で個展。そして12月には横浜美術館で始った「断面の世代」へと続いて行く。また2008年10月からシンガポールの版画工房STPIに3回の滞在制作を経て完成した作品を2010年にら発表、2010年は、フィアデルフィア美術館のグループ展、ニューヨークの601 Artspaceでの個展、ロンドンのパラソルユニットの個展を経て国立国際美術館の「断面の世代」。今回のドキュメンタリーではこのロンドン、パラソルユニットあたりまでを束芋の回想によるロードムービーとしてまとめた。

出演・束芋  監督・岸本 康
本編映像 47分

Tabaimo (b.1975) converts her hand-drawn images into animation on a computer and incorporates them into installations using multi-projection and other means of expression. In 2009, 10 years after her debut, her major solo exhibition : “DANMEN” was shown at Yokohama Museum of Art and at The National Museum of Art, Osaka (2010). The film documents the three years prior to the exhibition and includes interviews in which she reflects on each project.
Featuring Chanel’s “MOBILE ART” , “Manga!” at Louisiana Museum of Contemporary Art, her solo exhibition at Moderna Museet and her residency at the Singapore Tyler Print Institute in Singapore, the film contains 11 works of the artist as well as their production process and shows how her large installation comes into being.★ご注意ください!!★
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