ディスクメディアの行く末

 映像のソフトはVHSテープのどっしりとしたパッケージの存在感で幕開け、今DVDやBlu-Rayのパッケージで終わりを告げようとしている。ディスクというプラスティックの円盤が回転するメディアはBlu-Rayがおそらく最後のメディアになる。音楽がネット配信に移って行ったように映像も時間差でやがて同じ道を歩むだろう。
 その一方でレコードはとても古いメディアでありながら今も健在だ。蓄音機で聞く初期のものは勿論電気もいらない。CDになる直前のレコードは現在でもプレーヤーが開発されて販売されている。私も昔集めたレコードを再び聴くために数年前にプレーヤーを購入した。デジタルファイル化してしまえば便利だと思ったのが発端だが数枚録音して止めてしまった。レコードは明らかに小さなヘッドホンで聴くものでなかったのだ。スピーカーで聴くとプチプチというレコードのノイズは楽器のように聞こえるけれども、ヘッドフォンでは辛い耳障りなものにしか聞こえない。取引先の電気メーカーの先輩たちにこの話をしたところ、みんな同なじように考えていて、レコードはデジタル化せずにデジタルは最初からデジタルで録音されたソースを聞いているらしい。音として別物な訳だ。
 音として別物で、さらに最近はネット配信でジャケットの物質感もなくなって、刺激が減ったようにも思える。聞きたい曲をすぐに着けるのも良いような悪いような。もうアルバムという概念も無いような気がする。レコード屋さんで視聴して迷いに迷って買った一枚のレコードをジャケットから出して匂いを感じて針を落とす。そんな儀式的な行動と時間は今の社会ではもう完全に過去のものなのか。
 さて話は映像パッケージ。私の作った映像も現在はDVDにして販売しているが、行く末はパッケージはなくなるだろう。でも良く考えるとパッケージのあったものは未来にも残されやすいかもしれないし、時間が経って開けた時にもその当時の空気が伝わってより文化的とも言えるかもしれない。あともう少しの時間かもしれないけれど、これから発売するDVDはパッケージも少し凝ったものにしたり中に何か入れたりしても良いかと思っている。中学や高校の頃に買った一枚一枚のレコードの思い出に変る何かを、それを知る我々世代が作り出す義務のようなものがあるのではないかと思うこの頃だ。++++++++++++++++++++++++++++++
2018.0730追記
束芋が映像インスタレーションを始めた頃はまだ送り出しはVHSでした。
せーので3つのデッキのボタンを押していました。巻き戻し中は作品は見られません。それから20年。もうディスクのような回転するものも有りませんが、表現の幅は広がったのでしょうか・・。多分2010年頃に映像展示的な事はひとまずピークを向かえていたようにも思います。後はコンピューターを駆使して拡張する事は出来るようになりました。
横浜美術館での束芋の展覧会の様子等はimomushi : tabaimo -2010-に収録されています。BLOWの設置風景などのメイキングなども、盛りたくさんです。

DVDをAmazonで購入 

束芋:tabaimo imomushi -2010-芋蟲 from Ufer! Art Documentary on Vimeo.
束芋:tabaimo imomushi -2010-
日本語/English Subtitles

imo-laをリリースした2007年の秋、束芋はロンドンの北の街、ヨークでシャネルのモバイルアートに出品するat the bottomのプロジェクションテストを行なっていた。前年から構想していた作品の形がようやく見え出した。 今回のストーリーはここから始まる。2007年の年末に横浜美術館でGoth展に参加、2008年はニューヨークのジェームス・コーハンでの個展、ハラ・ミュージアム・アークの真夜中の海の新しい展示、そしてモバイルアートが香港をスタートとして東京、ニューヨークを巡回。秋にはデンマークのルイジアナ美術館の「マンガ」というグループ展に参加、ギャラリー小柳の個展を経て、翌2009年はストックホルム近代美術館で個展。そして12月には横浜美術館で始った「断面の世代」へと続いて行く。また2008年10月からシンガポールの版画工房STPIに3回の滞在制作を経て完成した作品を2010年にら発表、2010年は、フィアデルフィア美術館のグループ展、ニューヨークの601 Artspaceでの個展、ロンドンのパラソルユニットの個展を経て国立国際美術館の「断面の世代」。今回のドキュメンタリーではこのロンドン、パラソルユニットあたりまでを束芋の回想によるロードムービーとしてまとめた。

出演・束芋  監督・岸本 康
本編映像 47分

Tabaimo (b.1975) converts her hand-drawn images into animation on a computer and incorporates them into installations using multi-projection and other means of expression. In 2009, 10 years after her debut, her major solo exhibition : “DANMEN” was shown at Yokohama Museum of Art and at The National Museum of Art, Osaka (2010). The film documents the three years prior to the exhibition and includes interviews in which she reflects on each project.
Featuring Chanel’s “MOBILE ART” , “Manga!” at Louisiana Museum of Contemporary Art, her solo exhibition at Moderna Museet and her residency at the Singapore Tyler Print Institute in Singapore, the film contains 11 works of the artist as well as their production process and shows how her large installation comes into being.


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